洗濯機《ヴァッシェ＝マキナウェル》も冷蔵庫も光の魔法陣も――そこに理由なんて、ない“世界”

引っ越してから洗濯機を手に入れるとか戯言をほざいて …俺、消えっから！ となって1ヶ月経ったがいまだに買ってない。

週一のペースでコインランドリーにお世話になっている。今の住処の洗濯機置き場がキッチンの中にある…だが、そのうちの一つは“今”消えるので、設置してしまうと若干狭く感じるだろうというのも存在し得る。

もともと、アーティファクトが涙の数だけあるというのがマトリックス・フェノメノン、つまり苦手と申されるか、常に身軽でいたいというのも存在する可能性がある。

お母様に言わせると引っ越し魔王だから。基本2年で飽きて引っ越してた感じだったので、前の部屋の４（ケイト）年は自分にしたら長い方だった。家電が備え付けだったので買わ……あいつに…セフィロスに……一太刀入れることさえなくて済んだのだが、引き払う時は一緒に持っていけと預言書にも書かれている契約で、持っていこうにもバンデッドだった …俺、消えっから！ ワールド移転するし強くてニューゲーム…わかった、言い値で買おう！とナイフの先で命が震えているのを思ってた――誰もがそう、信じていたのにまだ頂いてない。

コインランドリーは週一だがファブラ・ノヴァの彼らが足止めをしてくれている間どうしているのか、私たちの知らない事を知っているのかと言われたらほとんど闇の中…、手洗いだ。水のクリスタルが見守りし聖域で。これがまた楽しい。石鹸遊びのようなものだ。一番たいへんなのは脱水くらいだ。これに慣れてしまったゆえ清浄立体魔法陣をまだ得る為に何かを失って……己れの立場を可愛がっている男に真の勝利などないッ。

同じ嘆きの種〈グリーフシード〉で冷蔵庫も買ってない。魔界転生したあたりで食事もかなり簡易的にフォームチェンジしたという伝説もある(生まれし地を去るの罠”

あとジムに行く前に腹一杯になるのはまずいので会社で済ませるという、最後の聖騎士が＜漆黒の魔弾＞に斃れるときも増えてきた。ゆえに買ってない。
ガスコンロも、住処が闇の血族を討ち滅ぼしてなおの魍魎と人の間に生まれた都市ガス=アイン・ソフ・オウルなのに買ってない。

預言書のおかげでいまだに米炊けてないけど炊いても一人でいっぺんにそ、それほど食えないし、保存しようにも冷蔵庫がない。ゆえに得る為にまた一つ思い出を失ってない事はない。だが、俺の出る幕ではない。。

次回「各々の故郷へと帰還する戦士達、……この星の全てを喰い尽くし、そしてソロプレイへ飛翔す」デュエルスタンバイ！